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クロマグロの完全養殖に成功したのはどこの大学?
- 青森大学
- 北里大学
- 近畿大学
- 長崎大学
クロマグロの「完全養殖」は、持続可能な水産資源の確保を目指す上で非常に重要な技術です。ここでは、その歴史、仕組み、メリット・デメリット、そして現在の課題について詳しく解説します。
クロマグロの完全養殖とは
一般的な養殖では、天然の稚魚を捕獲して育てますが、完全養殖とは、人工的に孵化させた仔魚が親魚となり、その親魚が産んだ卵から再び仔魚を孵化させる、という一連のライフサイクルすべてを人間の手で管理する養殖のことです。天然資源に一切頼らないため、究極の持続可能な養殖と言えます。
歴史と近畿大学の功績
クロマグロの完全養殖は、非常に難しいとされてきました。その大きなブレイクスルーを成し遂げたのが、近畿大学水産研究所です。
- 1970年: 近畿大学がクロマグロの養殖研究に着手。
- 1979年: クロマグロの人工孵化からの種苗生産に世界で初めて成功。
- 2002年: 32年間の研究を経て、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功。この成果は、NHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」でも取り上げられ、広く知られることとなりました。
- 2004年: 完全養殖クロマグロの出荷を開始。
完全養殖の仕組み
近畿大学などで行われているクロマグロの完全養殖の基本的な流れは以下の通りです。
- 親魚の育成と採卵: 人工的に育てられた親魚(クロマグロ)を大型の生け簀などで飼育し、産卵させます。マグロは非常にデリケートな魚で、産卵を促す環境づくりや親魚の健康管理が重要です。
- 卵の採取と孵化: 産み落とされた卵(直径約1mm)を回収し、陸上の水槽で管理して孵化させます。孵化には1日半ほどかかります。
- 仔魚・稚魚の育成: 孵化したばかりの仔魚は非常に小さく、最初は自家培養したシオミズツボワムシなどの生きたプランクトンを与えます。成長に合わせて、イシダイなどの仔魚や配合飼料に切り替えていきます。特に孵化後10日目までに大量に死亡する「沈降死」と呼ばれる現象の克服が大きな課題でした。
- 海上生け簀での育成: 陸上の水槽で体長5~6cm程度に育った稚魚は、海上にある網生け簀に移されます。ここで約2~3年かけて出荷サイズ(20kg~)まで育てられます。マグロは成長が早く、1年で8~10kg、2年で30kg程度に成長します。
メリット
- 天然資源の保護: 最大のメリットは、天然のクロマグロ資源に一切負荷をかけずに生産できる点です。乱獲による資源減少が懸念される中で、持続可能な供給源として期待されています。
- 安定供給: 天候や漁獲量に左右されず、計画的な生産が可能になります。これにより、市場価格の安定化にも寄与する可能性があります。
- 品質管理のしやすさ: 飼育環境や与える餌をコントロールできるため、品質の均一化や向上、さらには特定の栄養成分の付与なども可能になります。天然魚に比べて水銀濃度が低い傾向にあることも指摘されています。
- 生態系への配慮: 天然の稚魚を捕獲しないため、海洋生態系への影響を最小限に抑えられます。
デメリット・課題
完全養殖は画期的な技術である一方で、いくつかの課題も抱えています。
- 高コスト体質:
- 高い死亡率: 特に卵から人工種苗を作るまでの初期段階での死亡率が極めて高く、1万粒の卵から1~10尾程度しか出荷魚にならないというデータもあります。
- 餌代の高騰: マグロは体重1kg増やすのに15kg近くの餌(サバ、イワシ、イカなどの生餌)が必要とされ、餌の価格高騰が生産コストに大きな影響を与えます。配合飼料の開発も進められていますが、まだ生餌への依存度が高いです。
- 長期の育成期間: 出荷まで2~3年かかるため、その間の維持管理費用もかさみます。
- 採算性の悪化: 近年、国際的な漁獲制限の効果で天然マグロの資源量が回復傾向にあることや、餌代の高騰により、天然の稚魚を捕獲して育てる「蓄養」の方がコストが低くなり、完全養殖の採算性が悪化する傾向が見られます。大手企業が完全養殖からの撤退や生産縮小を発表するケースも出てきています。
- 品質の課題: 天然マグロと比べて、食感や脂の乗り、内臓の形状(腹が張って内臓が長く、可食部である腹の部分が少ない)など、品質面で課題を指摘する声もあります。これは、稚魚の頃から固形飼料を食べることで消化器官が変化するためとも言われています。
- 技術的な難易度: 稚魚の生存率向上、餌の効率的な利用、安定的な産卵技術の確立など、まだ技術的に解決すべき課題が多く残されています。
今後の展望
現状では経済的な課題が顕在化していますが、地球規模での食料安全保障や水産資源の持続可能性を考えると、クロマグロの完全養殖技術は依然として極めて重要です。今後は、以下のような取り組みが期待されます。
- 技術革新: 稚魚の生存率向上、効率的な配合飼料の開発、育成期間の短縮など、さらなる技術開発によるコスト削減が不可欠です。
- 品質改善: 消費者が求める品質に近づけるための飼育方法や餌の改善が求められます。
- 新たなビジネスモデルの構築: 養殖業者と研究機関、消費者、流通が連携し、完全養殖マグロの価値を適切に評価し、適正な価格で流通させる仕組みづくりも重要となります。
- 早期採卵技術: 親魚用大型陸上水槽を用いた早期採卵技術の開発により、養殖開始時の稚魚のサイズを大きくし、冬期の生残率を向上させる研究も進められています。
クロマグロの完全養殖は、まだ発展途上の技術であり、様々な課題を抱えていますが、将来の食料供給を支える可能性を秘めた、人類の大きな挑戦と言えるでしょう。
