江戸時代、7歳で失明したのにもかかわらず、和学講談所を設立し、古今の歴史書をテーマ別に分類した「群書類従」を著した人物は?

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江戸時代、7歳で失明したのにもかかわらず、和学講談所を設立し、古今の歴史書をテーマ別に分類した「群書類従」を著した人物は?

  1. 頼山陽(らいさんよう)
  2. 塙保己一(はなわほきいち)
  3. 大槻玄沢(おおつきげんた)
  4. 平田篤胤(ひらたあつたね)

【答え】 塙保己一(はなわほきいち)

塙保己一(はなわ ほきいち、1746年 – 1821年)は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した全盲の国学者です。その生涯と功績は、日本の学問史において非常に大きな意味を持ち、特に**「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」**という一大文献集の編纂事業は、現代の研究においても不可欠なものとなっています。

生涯の概略

  • 幼少期と失明: 延享3年(1746年)、武蔵国児玉郡保木野村(現在の埼玉県本庄市)の農家に生まれます。幼少の頃から病弱で、7歳の時に病がもとで失明してしまいます。
  • 学問への志: 盲人として当時一般的な生業であった鍼、按摩、音曲などの修行をしますが、どれも上達しませんでした。しかし、幼い頃から見せていた驚異的な記憶力と、学問への強い情熱から、国学の道に進むことを決意します。
  • 江戸へ出て修学: 15歳で江戸に出て、盲人社会の階級制度である「当道座(とうどうざ)」の師匠である雨富須賀一(あまとみ すがいち)に入門。ここで本格的に学問を修め始めます。
  • 賀茂真淵との出会い: 24歳で国学者・賀茂真淵(かもの まぶち)の門下に入り、大きな影響を受けます。真淵は保己一の才能を見抜き、その学問への姿勢を高く評価しました。
  • 和学講談所の設立: 寛政5年(1793年)、幕府の老中・松平定信(まつだいら さだのぶ)の援助を得て、我が国最初の国学の専門機関である**「和学講談所(わがくこうだんじょ)」**を設立しました。多くの弟子を育成し、日本の古典研究の中心となりました。
  • 総検校への昇進: 盲人社会の最高位である「総検校(そうけんぎょう)」に昇進するなど、障害のある人々の社会的地位向上にも尽力しました。
  • 逝去: 文政4年(1821年)、76歳でその生涯を閉じました。

主な功績

  1. 『群書類従』および『続群書類従』の編纂:
    • 塙保己一の生涯最大の事業であり、最も大きな功績です。散逸の危機にあった日本の古典籍、古文書などを全国から集め、その内容を分類・整理し、体系的に編纂した一大叢書です。
    • **『群書類従』**は正編666冊(後に670冊に増補)からなり、41年もの歳月をかけて文政2年(1819年)に完成しました。
    • その後、弟子の塙忠宝(はなわ ただとみ)らが事業を引き継ぎ、『続群書類従』(1185冊)も完成させました。
    • これらの文献集には、日本の古代から江戸時代初期にかけての文学、歴史、法律、有職故実(ゆうそくこじつ)、宗教、芸能など、多岐にわたる分野の貴重な資料が収録されています。
    • 全盲である保己一は、読みに来てくれる人々に書物を読んでもらい、それを全て記憶し、口述筆記させるという驚異的な方法でこの事業を成し遂げました。この事業で用いられた版木は、現在の原稿用紙の基本様式(20字×20行の400字詰め)の原型になったとされています。
    • これらの文献集は、現在でも日本の歴史や文化を研究する上で欠かせない基礎資料となっています。
  2. 和学講談所の設立と運営:
    • 国学研究の専門機関として和学講談所を設立し、多くの優れた学者や文化人を育成しました。学問の自由な議論と研究を奨励し、日本の伝統文化の継承と発展に貢献しました。
  3. 障害者福祉への貢献:
    • 自らが視覚障害者であったことから、同じ境遇の人々の生活や地位向上にも心を砕きました。盲人社会の最高位である総検校となり、盲人たちの組織である当道座の改革にも取り組みました。

逸話

  • ヘレン・ケラーが来日した際、塙保己一の業績を知り、彼を「日本のヘレン・ケラー」ではなく、「私が目標とする人」と評したという逸話があります。
  • 和学講談所で『源氏物語』の講義中にろうそくの火が消え、周りの弟子たちが慌てる中、「さてさて眼明(めあき)は不自由の者かな」と冗談を言ったという話は、彼の人間性と学問への深い集中力を示すものとして有名です。

塙保己一は、その類稀な記憶力と学問への情熱、そして困難に屈しない強い精神力によって、日本の文化と学術の発展に多大な貢献をした偉人として、今もなお多くの人々に尊敬されています。

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