鍛冶屋の技術で製作される金属の刀を何と呼ぶ?

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鍛冶屋の技術で製作される金属の刀を何と呼ぶ?

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【答え】刀剣

鍛冶屋が金属の刀を製作する技術は、特に日本刀の製造に見られるように、非常に高度で複雑なものです。単に金属を叩いて形にするだけでなく、材料の選定、熱処理、構造の工夫など、様々な工程と熟練の技術が求められます。

ここでは、日本刀を例にとり、鍛冶屋の技術によって刀がどのように作られるかをご紹介します。

1. 材料の準備:玉鋼(たまはがね)

日本刀の主要な材料は「玉鋼」です。これは、古くから伝わる「たたら製鉄」という日本独自の製法で、砂鉄と木炭を原料として作られる高純度の鋼です。たたら製鉄では、粘土製の炉で砂鉄と木炭を長時間(約3日間)かけて熱し、鞴(ふいご)で空気を送りながら温度を調整することで、不純物が少なく、炭素含有量が適度な高品質の鋼を精錬します。

精錬された玉鋼は、硬くて切れ味の良い「皮鉄(かわがね)」用と、粘りがあって折れにくい「心鉄(しんがね)」用に選別されます。

2. 折り返し鍛錬(たんれん)

これが日本刀の最大の特徴とも言える工程です。

  • 水へし・小割り: 玉鋼を熱して平らに打ち延ばし、水で急冷します。その後、小槌で約2cm角に砕き、断面の状態で硬い部分と柔らかい部分に選別します。
  • 積み沸かし(つみわかし): 選別した玉鋼の小片を、硬さごとに積み重ね、和紙で包んで粘土や泥で固めます。これは、熱する際に空気に触れて炭素が失われたり、玉鋼自体が燃えたりするのを防ぐためです。
  • 折り返し鍛錬: 炉に入れて約1300℃に熱した玉鋼の塊を、大槌で叩いて平らに延ばし、半分に折り返して再び熱して叩きつける、という作業を繰り返します。この「折り返し」は、一般的に10回から15回程度行われます。
    • 目的:
      • 不純物の除去: 叩くことで内部の不純物が叩き出され、組織が均一になります。
      • 炭素量の均一化: 玉鋼の炭素量にばらつきがあるため、折り返し鍛錬によって全体に均一な炭素量にします。
      • 層構造の形成: 折り返すことで、鋼の中に数千から数万もの微細な層ができます。この層構造が、日本刀の「折れず、曲がらず、よく切れる」という特性と、美しい「地鉄(じがね)」の模様を生み出します。

3. 造り込み(つくりこみ)

硬さの異なる「皮鉄」と「心鉄」を組み合わせて刀身の構造を作ります。これにより、外側は硬く切れ味が良く、内側は柔らかく粘り強い、という相反する性質を両立させます。

  • 甲伏せ(こうぶせ): 最も一般的な方法で、U字型に成形した硬い皮鉄で、柔らかい心鉄を包み込むように接合し、熱して一体化させます。
  • 本三枚(ほんさんまい): 硬い刃鉄(はがね)と、その上下を挟む心鉄・皮鉄の3種類の鋼を組み合わせる方法です。
  • 他にも、四方詰め(しほうづめ)など、様々な「造り込み」の手法があります。

4. 火造り(ひづくり)

造り込みが終わった鋼の塊を、さらに熱して叩き延ばし、刀の基本的な形(長さ、幅、反りなど)を作り出します。切っ先(きっさき)や鎬(しのぎ)なども、この工程で打ち出されます。

5. 土置き(つちおき)

刀身に「焼刃土(やきばつち)」と呼ばれる特殊な粘土を塗る工程です。これは、粘土、砥石の粉、炭の粉などを水で混ぜたもので、刀の部位によって厚みを変えて塗ります。

  • 刃先: 硬くしたい刃の部分には薄く塗ります。
  • 棟(むね)側: 柔らかくしたい棟側には厚く塗ります。
  • 焼刃土の厚みの違いが、後の焼き入れで「刃文(はもん)」と呼ばれる独特の模様を生み出します。

6. 焼き入れ(やきいれ)

刀剣製作の工程で最も重要かつ神秘的な工程の一つです。

  • 土置きされた刀身を炉で約750℃~800℃に熱し、一瞬にして水槽に浸して急冷します。
  • 科学的原理:
    • 高温になった鋼は、冷却速度によって結晶構造が変化します。
    • 焼刃土が薄く塗られた刃先は急速に冷却され、非常に硬い「マルテンサイト」という組織に変化します。これが刀の切れ味を生み出します。
    • 焼刃土が厚く塗られた棟側はゆっくり冷却され、粘り強い「パーライト」という組織に変化します。これが刀の折れにくさを生み出します。
    • この異なる冷却速度による結晶構造の変化の差が、刀身に独特の反りを生み出し、また刃文として視覚的に現れます。
  • 焼き入れは刀工の経験と勘が最も問われる工程であり、成功すれば美しい刃文と優れた性能を持つ刀が生まれますが、失敗すれば刀が曲がったり割れたりすることもあります。

7. 仕上げ工程

焼き入れが終わった刀身は、まだ粗い状態です。ここからさらに様々な職人の手を経て完成します。

  • 鍛冶押し(かじおし): 粗い砥石で研ぎ、焼き入れでできた刃文を確認し、反りなどを調整します。
  • 研ぎ(とぎ): 刀匠の手を離れた刀身は、専門の研ぎ師(とぎし)によって、様々な目の細かい砥石で丁寧に研ぎ上げられます。これにより、刀身の表面が滑らかになり、刃文が鮮明に浮かび上がります。
  • 茎仕立て(なかごじたて): 柄(つか)に収める部分である茎(なかご)をヤスリで整え、銘(刀匠の名前や製作年月日など)を切ります。
  • 鞘(さや)作り、柄巻き、鍔(つば)など: 鞘師、柄巻き師、金工師など、それぞれの専門職人が、刀身に合わせた鞘や柄、鍔などの外装を製作し、最終的に一振りの刀が完成します。

このように、鍛冶屋による刀の製作は、単なる手仕事ではなく、材料科学、熱力学、構造力学、そして何よりも職人の長年の経験と研ぎ澄まされた感覚が融合した、まさに芸術的な技術の結晶と言えます。

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