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世界で初めてクローン羊が誕生した年はいつですか?
- 1975年
- 1985年
- 1996年
- 2000年
クローン羊「ドリー」について
クローン羊の**ドリー(Dolly)**は、科学史における画期的な出来事であり、体細胞クローン技術の成功を世界に知らしめた最初の哺乳類です。その誕生は、生命科学、倫理、社会に大きな影響を与えました。
ドリーの誕生と方法
ドリーは、1996年7月5日にスコットランドのロスリン研究所で誕生しました。しかし、その存在が公にされたのは、その成功を確実にするため、1997年2月22日でした。
- 体細胞核移植(Somatic Cell Nuclear Transfer, SCNT):ドリーを生み出すために用いられた技術は、体細胞核移植と呼ばれます。これは以下のステップで行われました。
- 核の提供元:フィン・ドーセット種の成熟した雌羊(6歳)の乳腺細胞から核を取り出します。この細胞は「体細胞」であり、特定の機能を持つ細胞です。
- レシピエント卵子:別のブラックフェイス種の雌羊から未受精卵子を採取し、その卵子の核(遺伝情報を持つ部分)を抜き取ります。これにより、遺伝情報を持たない「核を除去した卵子」が準備されます。
- 核の移植と融合:抜き取った乳腺細胞の核を、核を除去した卵子の中に入れます。そして、電気パルスなどの刺激を与えて、乳腺細胞の核と卵子を融合させます。
- 発生と着床:融合した卵子を体外で培養し、初期の胚(胚盤胞)まで発生させます。
- 代理母への移植:この胚を、また別のブラックフェイス種の雌羊(代理母)の子宮に移植します。
- 誕生:約5ヶ月後、代理母からドリーが誕生しました。ドリーの遺伝情報は、核を提供した乳腺細胞の羊と全く同じであり、代理母とは遺伝的に無関係です。
ドリーの意義と影響
ドリーの誕生は、科学界と社会に大きな波紋を広げました。
- 体細胞クローンの可能性を証明:それまで、成熟した体細胞から完全に新しい個体を作ることが可能かどうかは疑問視されていました。ドリーの成功は、分化した細胞の核にも、個体全体を形成するための全ての遺伝情報が保持されていること(全能性)を証明し、成熟した体細胞からでもクローン個体を作れることを示しました。
- 再生医療への期待:クローン技術は、絶滅危惧種の保護や家畜の改良といった分野への応用が期待されました。また、ドリーの誕生から派生して、個体そのものではなく、特定の細胞や組織を生成する治療用クローン(therapeutic cloning)、すなわち**ES細胞(胚性幹細胞)や後に発見されるiPS細胞(人工多能性幹細胞)**を用いた再生医療研究が大きく進展するきっかけとなりました。
- 倫理的議論の勃発:一方で、人間のクローンを作ることへの倫理的な懸念が世界中で噴出しました。「神の領域への介入」といった批判や、クローン人間の誕生がもたらす社会的な影響について、活発な議論が巻き起こりました。多くの国で人間のクローン作成を禁止する法律が制定されるきっかけにもなりました。
ドリーの生涯
ドリーは、その誕生から約6年半後の2003年2月14日に安楽死されました。
- 健康問題:ドリーは、比較的若い時期から関節炎や肺疾患を患っていました。これらの病気がクローン技術によるものなのか、あるいは通常の羊にも見られるものなのかについては議論がありましたが、クローン動物の健康や寿命に関する懸念を提起する結果となりました。
- 遺伝的老化?:ドリーの乳腺細胞は6歳(ドリー誕生時)の羊から取られたものであったため、ドリーの細胞には最初から6歳分の「老化」が組み込まれていたのではないか、という憶測も流れました。しかし、これについては明確な結論は出ていません。
ドリーは、その短い生涯の中で、生命科学の進歩と、それによって生じる社会的な問いかけの象徴となりました。現在、ドリーの剥製は、エディンバラのスコットランド国立博物館に展示されています。