世界恐慌のために「ニューディール政策」を実施したアメリカの大統領は誰？

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世界恐慌のために「ニューディール政策」を実施したアメリカの大統領は誰？

1. リンカーン
2. ワシントン
3. マッキンリー
4. F.ルーズベルト

【答え】　F.ルーズベルト

F. ルーズベルトとは、フランクリン・デラノ・ルーズベルト (Franklin Delano Roosevelt, 1882-1945) のことです。彼はアメリカ合衆国の第32代大統領として、1933年から1945年まで在任しました。アメリカ史上唯一、4期連続で大統領を務めた人物であり、20世紀前半の国際政治において中心的な役割を果たしました。

生涯と政治キャリア

• 出自: ニューヨーク州ハイドパークの古い名門の家柄に生まれました。第26代大統領セオドア・ルーズベルトは縁戚にあたります。
• 教育: ハーバード大学を卒業後、弁護士を経て政界に入ります。
• 初期キャリア: ニューヨーク州上院議員、ウィルソン政権の海軍次官補などを歴任しました。
• ポリオとの闘い: 1921年、ポリオ（小児麻痺）を発症し、両足が麻痺しましたが、困難を乗り越えて政治活動を続けました。

主要な功績と政策

F. ルーズベルトは、世界恐慌と第二次世界大戦という、アメリカ史における二つの大きな危機を乗り越える上で、極めて重要なリーダーシップを発揮しました。

1. ニューディール政策 (New Deal)
   • 1929年に始まった世界恐慌からの脱却を目指して、一連の経済政策を実施しました。
   • 「大きな政府」の導入: 従来の自由放任主義から転換し、政府が経済に積極的に介入する「大きな政府」の考え方を導入しました。
   • 主な施策:
     • 金融機関の再建: 緊急銀行救済法、グラス・スティーガル法（銀行と証券の分離、連邦預金保険公社の設立）などにより、金融システムの安定化を図りました。
     • 公共事業の拡大: テネシー川流域開発公社（TVA）などによる大規模な公共事業を展開し、雇用を創出し、インフラ整備を進めました。
     • 産業・農業の調整: 全国産業復興法（NIRA）、農業調整法（AAA）により、生産量の調整や労働条件の改善を行いました（ただし、一部は後に違憲判決を受けました）。
     • 社会保障制度の確立: 1935年の社会保障法の制定により、失業保険や老齢年金など、現代につながる社会保障制度の基礎を築きました。
   • これらの政策により、アメリカ経済は世界恐慌のどん底から回復に向かいました。
2. 第二次世界大戦への対応
   • ヨーロッパで第二次世界大戦が勃発すると、当初は中立の立場を維持しつつも、連合国への支援を強化しました。
   • 真珠湾攻撃と参戦: 1941年12月の真珠湾攻撃を機に、アメリカは第二次世界大戦に参戦します。
   • 連合国の指導者: イギリスのチャーチル、ソ連のスターリンとともに連合国の主要な指導者として、戦争を指揮しました。
   • 国際連合の設立: 戦後の国際秩序構築にも積極的に関与し、国際連合の設立に重要な役割を果たしました。ヤルタ会談などでその基礎が合意されました。

人柄とリーダーシップ

• 国民との対話: ラジオを通じて国民に直接語りかける「炉辺談話 (Fireside Chats)」を行い、国民に安心感を与え、政策への理解を深めさせました。
• 柔軟な発想と問題解決能力: 困難な状況においても冷静さを保ち、柔軟な発想で様々な問題解決策を試みました。
• ブレーントラスト: 大統領選において、コロンビア大学の若手教授たちを政策ブレーンとして起用し、多様な専門知識を取り入れました。

評価

F. ルーズベルトは、アメリカを世界恐慌と第二次世界大戦という未曾有の危機から救い、アメリカを世界の超大国へと押し上げた大統領として高く評価されています。その一方で、ニューディール政策における政府の過度な介入や、一部の人種政策における課題なども指摘されています。

このように、フランクリン・デラノ・ルーズベルトは、アメリカ合衆国のみならず、世界の歴史に大きな足跡を残した非常に影響力のある人物です。