江戸時代に「自然真営道」を著して，万人みずから耕作して生活する自然の世を理想とし，武士が農民から収奪する社会や身分制度を批判した人は誰でしょう？

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【答え】　安藤昌益

江戸時代に『自然真営道（しぜんしんえいどう）』を著し、万人自ら耕作して生活する自然の世を理想とし、武士が農民から収奪する社会や身分制度を批判した人物は、安藤昌益（あんどうしょうえき） です。

安藤昌益（1703年? – 1762年?）は、江戸時代中期の思想家、医者です。その思想は当時としては極めて革新的であり、異端視されることもありました。

昌益の思想の核は、人間が本来あるべき姿は「万人直耕（ばんにんちょっこう）」、つまりすべての人が自らの手で田畑を耕し、自然の恵みを直接享受して生活することにある、というものです。

彼は、この「直耕」こそが自然の理にかなった生き方であり、万人が平等で平和に暮らせる「自然の世」であると説きました。

そして、『自然真営道』をはじめとする著作の中で、当時の社会のあり方を鋭く批判しました。

武士階級への批判: 昌益は、武士が自ら生産活動に従事せず、農民が耕した米を年貢として収奪し、それを生活の基盤としていることを厳しく批判しました。このような、生産に携わらない者が生産者から搾取する仕組みを「不耕貪食（ふこうどんしょく）」（耕さずに貪り食う）と呼び、不自然で不正な社会構造であると主張しました。彼は、武士だけでなく、商人、僧侶、医者、学者など、生産に関わらないすべての階級を批判の対象としました。
身分制度への批判: 武士を頂点とする士農工商の身分制度も、自然の理に反するとして徹底的に批判しました。彼は、人間は本来平等であるべきであり、特定の身分が他の身分の上に立って支配・搾取することは許されないと考えました。彼の理想は、身分の区別なく誰もが平等に働き、平等に生活する社会でした。
学問・宗教への批判: 学問や宗教についても、人々を「直耕」から遠ざけ、支配者の都合の良いように社会を維持するための道具と見なし、批判的な姿勢を取りました。